自分など旅でさがせるものかなあ(他作)

春秋の良い季節には「ぶらり一人旅で自分発見の旅にでかけよう」と旅行会社の新聞チラシが沢山入るが、作者はこれを見て作ったようだ。
旅好きの私は、この句に若干の抵抗感と夢のない寂しさを感じる。
高い旅費を出して隠れんぼ遊びをする訳ではないのだから意識して『自分』など発見しようと思わなくて良い。
『旅』は難しい表現をすれば『非日常の世界』に入るということ。
普段いる「日常の世界」を抜け出し「非日常」という名の時間の流れも空間も別の世界に入ることだから改めて自分を探そうと意識する必要はない。
世界で最初に宇宙に飛び立ったソ連の宇宙飛行士ガガーリンの最初の言葉は『地球は青かった』だったが五十代以上の方ならば誰でも記憶はあるだろう。
これは地球を飛び出してガガーリンが初めて分かったことである。
レベルは文字通り「月とスッポン」だが「旅の自分探し」もこれと同様ではないだろうか。
『環境を変えれば自分見えてくる』・・夫婦喧嘩の多い人は時々友人夫婦と交換も良し。
「妻の良さ」とか「自分の欠点が見えてくる」の意味であるので、変な意味に勘違いなきようお願い。