貧乏をしてると四季がよく分る(他作)(7件)

読者は『四季』と言えば風情とか情緒というものを考えるが、作者は「夏の猛暑」や「冬の厳寒」を頭において句を詠んでいるようだ。
したがって、この句の面白味は『四季』の意味において、作者の思いと読者の受け止め方にあまりに大きなギャップがあることである。
ホームレス中学生』の本がベストセラーで販売中だが、作者の立場でもう一句加えると、
『敏感に四季を感じるホームレス』。
他人事ではない。私も昭和50年から60年まで広島市宇品の戸建木造官舎に住んでいた。
経年約三十年で痛みも激しく、隙間風がビュービュー入っていた。床の間に落ちる雨漏りはいつものことで洗面器を置いて受けていたが、驚いたのは、ある風の強い雪の晩、雨戸の隙間から雪が入り込み起きるとたたみの上に筋を立てて5ミリ積もっていたこと。
安い官舎で文句は言えなかったが、このときはマンション住まいの人がが羨ましかった。
宇品の官舎には昭和60年7月までいて転勤で島根県隠岐の島に引越した。ここの官舎は狭かったが扉はみなアルミでしっかりしており、雨が漏れたり、雪が振り込むことは無かった。何より良かったのは、『離島の国家公務員の宿舎料は無料』という特典があったことである。