問診にとなりの妻が皆答え(他作)

診察室まで同行して夫に代わり医師の質問に答えるやさしく口達者な奥さんの姿が目に浮かぶ。
『問診』とは、受診した際医師が患者に病状などを聞く診察行為であり、患者との会話を通じて現在の症状だけでなく、これまでの病歴や家族暦、生活暦などから病気の全体像を探るもの。
従って、基本的には当然本人が医師に回答すべきものと思われる。
例外的に付き添い者が回答する場合は「老齢者検診」や「乳幼児健診」の場合等で患者自ら回答できないときだけだろう。
冒頭の句の趣旨は『医師の質問に作者自身が回答しようと思ったらことごとく先に妻が多少ウソも交えながらしゃべってしまったので自分のことなのに,言いたいことも言えなかった』という句だが、日頃のおしゃべり奥さんに対する不満もチョッピリ混ざっているように受け取れる。
作者夫婦だけではなく病院に行くと待合室で患者さんの名前を呼ばれるとに入る前から付き添いの70代前後の奥さんが口先尖らせ,待ってましたとばかり急いで診察室に急ぐ姿をよく見かける。これらがみなそうだろうか?と思うとおかしくなってくる。
これも対象が『乳幼児』になると医師の質問に回答するのは若きママさんばかり、職業とは言え毎日さぞ楽しいだろうとうらやましく思う。