逃しても待てば来るわよ恋とバス(他作)

ずいぶん安閑とした句だ。
まるで「今日もある明日もあるさ人生は」と言っているようだ。
この句から推察すると作者は都会の人のようだ。
バスがひっきりなしに来るのであれば一度逃しても次便で無事目的地まで行ければそれで結構。
一方の恋については各人の好みもあり、チャンスを逃すと同じチャンスが再びめぐってくるという保証はどこにもない。
最近の若者を見ると、『就職』『結婚』『出産』等、人間として大切なことを『してもしなくても良い』と中途半端に考える人があまりに多い。
『恋』をいきなり『結婚』に結びつける積りは毛頭ないが、何事につけ若者は執念がないから『恋』を逃してもまたチャンスが転がってくると安易に考えているのではないか?
そういうことも要因の一つとなって『晩婚化現象』が起き、ひいては『少子化』を招いているのではないか?
『待つ』という点に的を絞って全く次元の違う『恋』と『バス』を並列的に並べたところにこの句の面白さがある。
最後に『選ばねばいつでも来るぞ恋とバス』と軽く返しておこう。