富士山をふさがぬように干す工夫(他作)

日常生活の知恵から生まれた傑作だ。
作者は神奈川県茅ヶ崎市だ。どの程度の都会か私には分からないが、マンションかアパートの谷間から少しだけ顔を覗けている富士の雄姿を日中見たいために、視界をさえぎらないよう洗濯物を干すという、主婦の気持ちが生んだ句だ。
私も島根県隠岐の島に転任していたとき平屋の狭い官舎で目の前の大きな家の母屋と納屋のわずかな隙間からよく晴れた日には西郷湾の紺碧のブルーが眼に入った。
すると、いつも爽快感を覚えていたので、作者の気持ちはとてもよく理解できる。