妻ですと説明が要る古写真(他作)

この句は、そのまま受け止めれば、
昔美人だった妻も現在は随分年取り顔に色艶なくシワも多くなったが、「古写真」の中ではどれが妻か分かるだろうか?というものだ。美人の妻を自慢したいときに使う手であろう。
そのように受け止めても面白いが、
私は読者の意表をついた面白さがこの句にはあると思う。
「古写真」の文字ズラから、写っている人は「老婆」や「老母」というものをイメージしてしまうが、この作者は意表をついて「若い妻」や「新妻」をイメージさせたのだ。
下の句で表現した「古写真」と、句全体がイメージさせた「若い妻」の対比は前者は目で感じたこと、後者は心で感じたことである。異なる感覚器官によって相反する感じを対比したのはすごい高等テクニックだ。