空稲架でさかあがりした昔あり(他作)

『空稲架』とは『からはざ』と読み『稲の架かってない稲木』を意味する。
地方によって名称が違うようで、私の田舎では『稲木』のことを「はでご」と呼んでいた。
この木は子どもがとてもさかあがりできるような細いものではない。
私ならば『空稲架を友と歩いた昔あり』となり、懐かしい田舎の原風景が脳裏に浮かぶ。
機械化時代の現代ではもう稲を稲木に架ける所などないだろう。

冒頭の句は俳句でもおかしくないのではないか?
ちなみに次のような俳句もあるので紹介しておこう。
『空稲架(からはざ)の軽きところに雨が降る 小林清水作
この句の季語は「稲架」で季節は秋のようだ。そう思って読むと稲が架かっていない稲架の軽いところにシトシト秋の冷たい雨の降る寂しい様子に風情を感じる。