乗客をアゴで数えるバスガイド(他作)

アゴ』は一般的にあまり良い意味で使われていない。最も悪いのが、威張った態度で人を使うという『アゴで使う』。その他にはひどく疲れたときの『アゴを出す』。物事が自分の思い通りになり得意になっているときの『アゴをなでる』等である。
美声で親切な『バスガイド』と、どちらかと言えば悪い意味で使われる『アゴ』と、印象が相反するものを組み合わせた着眼点の面白さがある。
もし将来このバスガイドが観光課長にでも昇進すると若いとき培ったスムースな 「アゴ」の上下運動で部下をこき使い、部下は『アゴ』を出すのではないか?それで『アゴ』をなでていると誰にも嫌われる上司となることは間違いない。(言葉遊びで失礼!)
この句の着眼点に私は先ず感心のコメントをした。
しかし、批判のコメントをしたら、作者は、『指先で乗客数えるバスガイド』と詠むかもしれない。
この句だって、乗客に対して『失礼』という意味においては冒頭の句と五十歩百歩だ。