荷物置き座席を探す美人待つ(他作)

列車内だろうか?中年のいやらしい男性像が浮かぶ。
待っていた美人が運良く自分のそばを通りかかれば、さっと荷物をひざの上において、『ここが空いていますからどうぞ』と声を掛け『アー良かった、ありがとうございます』という思いどおりの展開になるのだろうが、乗客はその美人だけではない。それまでには他の多くの乗客が座席の荷物を見つめ、次には隣に座る紳士ぶった非常識な男を睨みながら通路を通り過ぎたと思われる。
「荷物を置いての座席取り」で思い出すのは、昔、芸備線で1時間20分かけて広島まで列車通勤をしていたころ。三次駅始発だが私が乗るひとつ前の駅くらいで全車両ともほぼ満席となっている。
空席はほとんどなく、たまに空席を発見しても「荷物を置いて占領」していたり「ここにはいます」と言う。
「自由席」とは名ばかり、通勤列車については完全に「指定席」と化していた。勿論これらの空席は途中の駅で乗り込む知人を座らせるため。「自由席の指定席化」は良し悪しは別として「格好のコミの場」になっていたようだ。