トイレ見て学校の質判断す〈他作)

私が子供の頃、父親は畳職人をしていた。お客様の家で仕事をするので家はよく観ていたようで、我々子供に「トイレだけはきれいにしておけ。トイレがきれいかどうかで、その家の人がどういう人かまで分るからのー」と、よく言った。
「どういう人か分る」と言ったのは分りやすく言うため誇張した表現だと思うが子供心に父親の言いたいことは理解できた。
私は30代の頃、郵便局の会計監査の仕事を4年間行った。監査だから会計事務の指摘とともに総合評価も行う。「先入観」で判断は禁物だが入局したときの「職員のあいさつ」と「トイレの清掃」でおよそ「評価はこれくらいかな?」と予想すればあまり外れることはなかった。職員のあいさつできない局に「優」の評価はないし、真白いはずのトイレの便器が黄色
に染まっているような局は絶対、会計事務が整然としていることなど有り得ない。
冒頭の句は短絡的なようだが、我々に大切なことを教えてくれていると思う。
「そんなことで学校の質を判断するなんて」と一笑に付す人もいよう。しかし、学校のあらゆる体質が一部密室も存在する「トイレに集約されている」と考えれば当たらずとも遠からじの句だと私は思う。
『一輪の花が与えるエネルギー』
落書きもあるが花も飾ってある・・・こんな所が学校のトイレだ。